カテゴリー LIVE CIRCUIT
2016/10/9
ARK HiLLS CAFE:JAZZ FESTIVAL2016 開催レポート
山崎千裕+ROUTE14band/Aki Sawazaki/Slon/島裕介齋藤純一 DUO/
RM jazz legacy/市川愛×森田真奈美×平岡遊一郎/福井アミ/ものんくる
DJ:君嶋麻里江/大塚広子
ARK HiLLS CAFE:JAZZ FESTIVAL 2016 イベントページ
ARK HiLLS CAFE:JAZZ FESTIVAL 2017 イベントページ
国内ジャズシーンを牽引するアーティストが集った1日の興奮のダイジェスト公開です!
今回参加したRM jazz legacyの昨年12月にリリースされた2ndアルバムのMVにARK HiLLS CAFE:JAZZ FESTIVAL2016のLiveシーンが収録されました。
2016年10月9日
今年で第2回目の開催となったARK HiLLS CAFE:JAZZ FESTIVAL2016
粛々と準備して参りましたが昨年に増して多くの方に足をお運びいただき、誠にありがとうございました。
LIVE CIRCUIT
ライブハウスやクラブとは違うカフェというスペースで、音楽を発信し人と人が繋がる「場」を作る。
アークヒルズカフェでは毎週ジャズを中心としたライブ「LIVE CIRCUIT」を開催してきました。
「その集大成を形にして広げていきたい」
ごく自然に発生したその想いから多くの人を巻き込むことになりました。
”カフェから発信する、都市型ジャズフェスティバル”
設営をしながらたくさんの笑顔が溢れる1日になるようにと細かい部分まで詰めていきました。
音楽好きのためのとっておきな至福の時間となるように。
昨日の雨模様を忘れたかのようによく晴れた日曜の朝。
オープンしたばかりの清々しいアークヒルズカフェの受付にはすぐにお客様の列が出来上がりました。
トップバッターを務めるのは山崎千裕+ROUTE14band
全米ツアーを成功させるなどワールドワイドに活躍する、ハッピーでノリのよいドライブ感のバンドの中を山崎千裕のトランペットが華やかに舞い上がる。
初っ端からテンション高めでお客さんがスタンディングでクラップしてしまうほどの熱気でした。
山崎千裕さんは去年のカフェジャズフェスにはお客さんで遊びに来ていらしゃってて、いつかこのイベントに出たいなと思ってくれたそうです。
2番手はbohemian voodooのアルバムに参加したりクラブ/ブラック系ミュージシャンとも交流の深いジャズシンガーAki Sawazaki沢崎晶がベースとギターのトリオで登場。グラントグリーンに強く影響を受けたというギタリスト白石才三とマルチな才人ウッドベース岩見継吾の、シンプルながらスモーキーでアーシーなサウンド。スタンダード〜ソウル〜ブラックジャズ〜オリジナル〜ブラジルと滋味あふれる歌声を響かせ、エリスレジーナの娘マリア・ヒタの楽曲Casa pré-fabricadaを日本語詞をつけて歌うのが新鮮でした。
ランチタイムの隙間を埋めるのはポジティブでハッピーな選曲を聞かせるDJ君嶋麻里江。DJの選曲を鳴らすスピーカーとアンプ類はDALIやONKYOのハイエンドオーディオシステム。アークヒルズカフェの系列店Weekend Garage Tokyoでも定期的にレコードイベントを開催している、Record People Meeting(RPM)の協力による手配。
ハイクオリティで鮮明な音を聞かせてくれました。
当日の会場は老若男女問わず様々なお客様がいらっしゃいました。
外国人の方もちらほらと、中にはこんな可愛い笑顔を振りまくお子さんもいらっしゃいました。
今回無名に近いアーティストSlonですがそれもそのはず、バンドを結成しこの名前をつけて初めてのライブがアークヒルズカフェジャズフェスティバルなのです。その中身はフリーフォークシーンで話題となった河合卓人が、もんくるの角田隆太や宮川純、ドラマーの横山和明と組んだバンド。確かな実力に時代性を感じさせるセンスとインテリジェンス、見るものを引き込むパフォーマンスで会場を沸かせました。
アコギを弾きながら、時に語りかけるように時に叫び訴えるように飛び交うソウルフルな歌声、タイトでグルーヴするリズム隊の上を転がようにエレピが被さる。これから話題になるであろうこと必至。
このSlonを結成するきっかけとなったのがDJ大塚広子のプロデュースしたコンピレーション『PIECE THE NEXT』。ロバート・グラスパー以降の同時代感覚を持った日本のジャズ周辺のアーティストの楽曲を集め、このシーンがワールドレベルでシンクロし面白い状況を呈していることを示しました。
この後に出番を控えているRM jazz legacyへ繋ぐ大塚広子のDJタイムを挟んだこの流れの時間は、まさにそのショーケースと言えます。
アークヒルズカフェジャズフェスティバルは現行のシーンの断片を切り取った縮図であればとも考えています。
その大塚広子がプロデューサーとして結成されたRM jazz legacyは黒いグルーヴを放ち、ジャズが黒人音楽としての系譜を受け継ぐものだと認識させるに十分なものでした。RM jazz legacyのコアメンバーであるベースの守家巧(B)と坪口昌恭(Key)に、同じく『PIECE THE NEXT』に参加したヤセイコレクティブのドラマー松下マサナオが加わり、さらにパーカッションでOmar Guaindefallが加わるリズムに特化したサウンドは腰にくる”うねり”を放っていました。
だいぶ日も落ち夜の帳が下りてきて、多くのライブを経て会場もより熱が帯びてきました。前年度のカフェジャズフェスを始め、普段のアークヒルズカフェや系列店のWeekend Garage Tokyoにもよく出演している市川愛が、そのサウンドを支えるギタリスト平岡遊一郎と、また最近ではよくデュオでも活動して話題になりつつあるピアニスト森田真奈美の3人で市川愛×森田真奈美×平岡遊一郎として出演。
心にスッと入ってくる歌声が魅力的なボーカリスト市川愛はその愛されキャラのパフォーマンスもあって多くのお客さんが付いています。森田真奈美の流麗なピアノは今後の日本のジャズシーンを担うピアニストとして注目されているのも納得の演奏。ドラムやベースがいなくても十二分なグルーヴを感じさせながら粒立ちの見事なソロを聞かせる平岡遊一郎の安定のプレイが光りました。
店内も立ち見が目立つくらいの状態になり、多くの拍手喝采や歓声が飛び交っていました。
また昨年もそうでしたが朝から終日いらっしゃるお客様も多く、野外フェスのように立ち見や地面に座るのでなく、着席して見れる音楽フェスがカフェならではというもの。
終日いても体力勝負という感じでなく、食事やお酒、もちろんコーヒーも楽しめるのがカフェジャズフェスの醍醐味とも言えます。
そんなパフォーマンスの連続なので始終フロアに笑顔があふれていました。
心躍るとはこういう瞬間のことだと真に思えます。
ジャズという音楽の楽しさを感じさせる一面でした。
また市川愛のステージには飛び入りでトランペットの島裕介が参加。
当日、アークヒルズカフェの外では昼間にカラヤン広場にてミュージックマルシェのステージコンサートが繰り広げられていました。こちらにも昨年に続きカフェジャズフェスティバルの出張版と言える島裕介齋藤純一DUOのステージが、夕刻の締めに行われていました。
トランペットでスタンダードや映画音楽など琴線に響くメロディーを奏でる演奏は、ジャズリスナーだけでなく多くの音楽愛好家にアピールする素晴らしいものでした。
夜も深まってきて登場したのはピアニスト福井アミ率いるピアノトリオ。タニアマリアを彷彿とさせる跳ねるようなピアノに、そのサウンドの要を支える工藤精のベース、今回は元クオシモードのドラマー今泉総之輔が昼間に出演していた横浜ジャズプロムナード終演後に駆けつけ、3人で抜群の演奏を聞かせてくれました。ノリノリの演奏に会場が終始沸き上がり、立って体を揺らしている人も目につきました。
そして今年のカフェジャズフェスのトリを飾るのはものんくる。昨年はボーカル吉田沙良とベース/ギター角田隆太に、キーボード坪口昌恭をサポートに迎えたアコースティックトリオでしたが、今年は全国ツアーを共に回ったバンド編成で臨んできました。
自由という言葉は彼女の為にあると思わざるを得ないボーカル吉田沙良のパフォーマンスは忽ちにして会場の注目を一身に集め、熱心な音楽愛好家を唸らせるものんくるの楽曲や演奏力に関わらず、決してポピュラリティーを失わない。
何か新しいことが始まるようなワクワクする感覚が起こる瞬間が今目の前にあると、会場のみなさんが同じ気持ちになったのではないでしょうか。
来年もまたこの場所でみなさんにお会いできることを心より願っております。
ありがとうございました。